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ブルーミントン動物病院
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里親探しは「獣医師広報版」
獣医師広報版

写真家・児玉小枝さん <2000.4>
今月は、写真家の児玉小枝さんにエッセイを寄せていただきました。児玉さんは、 動物収容施設の犬や猫たちを撮った写真集「どうぶつたちへのレクイエム」を桜桃書房から出版されています。この春、「全国学校図書館選定図書」に選ばれました。みなさんもぜひ、読んでみて下さいね。
●児玉さんのHP「どうぶつたちへのレクイエム」
 きっかけは3年前、線路わきに捨てられていた水色のゴミ袋を見つけたことでした。 袋の表には「犬(死)」と書かれた紙が貼ってあり、中には、赤い首輪をした白い大 きな犬が入っていました。 
 「動物の命がゴミ同然に扱われている──これが日本の現実なんだ」
 その時は、とにかくその子が哀れで、せめてお墓を──と、自転車の荷台に乗せ、 近くにある淀川の河川敷まで運びました。そして、冷たくなったその子の体に土をかけながら、決心しました。  
 「この子の死を無駄にしないためにも、この現実をみんなに伝えよう」
 その後、捨てられた犬や猫たちが最期の時を過ごす動物収容施設を訪れました。 そこで、大好きだった飼い主にもう二度と会えないことも、自分の命が間もなく絶たれ てしまうことも……何もかも知っているかのような切ない切ない瞳に逢いました。
 「現在、純粋な“野良犬”はほとんどいません。ここに収容されているのは、 捨てられたり迷子になったりして捕獲されたものか、飼い主が保健所に持ち込んだものか、 そのどちらかです。処分の方法は安楽死などではありません。炭酸ガスによる窒息死です。私たちだって、できれば処分なんかしたくない。でも、安易に飼って、 安易に捨てる飼い主がいる限り……」  
 肩を落とし、ため息混じりに話す職員の方を前にして、確信しました。   
 「これは、どう考えても飼い主の意識の問題。無知で無責任な飼い主の意識さえ変 われば、どれほどの命が救われることか……」
 でも、言葉や理屈で説明しても、耳の痛い人は耳をふさぎ、目を背けるに決まって る。何とか、人々の心に訴えかける方法はないだろうか──。そう考えた結果、たどりついたのが、写真展「どうぶつたちへのレクイ エム」でし た。
 鉄格子の中で死を待つどうぶつたちの肖像を撮影してから約1年間は、 アルバムにはさんだ彼らの写真を、時折取り出して眺めては涙する……そんな日が続きました。 そして、友だちに会う度に、「何とかみんなに伝えたいんだけど……」と話していま した。
 「そしたら、知り合いの喫茶店に頼んでみてあげようか?」
 それがきっかけで、1998年4月、第1回目の写真展を、大阪府吹田市にある喫茶店の小さな展示スペースで開くことになりました。
 「こんな悲しい写真、わざわざ見に来てくれる人なんかいないだろうなぁ。でも、喫茶店に来たお客さんだけにでも見てもらえたら、私1人で泣いてるよりはマシよね」
 正直言って、当初はそんな気分でした。
 ところが、蓋を開けてみると意外にも反響は大きく、「次はうちのギャラリーで展示してほしい」「うちの学校に来て話しをしてほしい」と、どんどん輪が広がっていきました。
 それまで私と同じように、捨てられたどうぶつたちのことで胸を痛めていた多くの 人たちが、「私もこの現実をまわりの人たちに伝えたい」と、声をあげてくださった のです。
 ある日、写 真展の事が新聞で取り上げられた時のことです。記事には処分される前 の柴犬の写真も掲載されていました。
 「児玉さんですか? 今朝の朝刊であなたの記事を読みました」
 職場にかかってきた電話の声の主は、年輩の女性のようでした。
 「私、実は今、猫を4匹飼っているんですが、本当は猫なんかあまり好 きじゃないの。でも、たまたま迷い込んで来たから、しょうがなしに飼っているの。 それをお友 だちに言ったら、『そんなら、保健所に持って行ったらええねん』と言われて、 そな いしようかなぁ思てましたんや」  ……な、なんなんだ? この人。一瞬、頭の中が真っ白になりました。
 「せやけど、今朝、新聞を見て、このワンワンちゃんの目があんまり悲しそうで、 涙がでましてなぁ……。保健所に持って行ったら、苦しんで死にますのんか? 」
 その後、少し時間をかけて保健所に連れて行くということの真意を説明しました。
 すると、「そうでしたか……そんな目にあわすわけにはいきませんなぁ。 ちゃんと 最後まで面倒みます」と申し訳なさそうに……。
 また、先日、大阪で開いた写真展に、たまたま友人に教えられて来たという20代の女性の反応には、私も驚きました。
 「え!? 保健所って、殺すんですか!? 保護して飼ってくれる所かと思 っていたのに!」
 見ると、目は涙で真っ赤になっています。
 話しを聞くと、その女性の叔父さんが、以前、飼っていたチンチラを「 毛がもつれるし、抜けるから」という理由で、保健所に連れていったらしいのです。 でも、彼女 は、そこで今もずっと飼ってもらっているものと思っていたと……。
 「写真集、ください。帰って家族にも伝えます! 友だちもみんな、そんなこと知らないと思うから、みんなに教えます!」
 “無知”の恐ろしさを改めて感じた出来事でした。同時に、“真実”を知 らせることの大切さを。
 同じ会場に来てくれた小学6年生の女の子からは、たくさんの“希望” をもらいま した。
 「新聞で見て来たよ!」と自転車に乗って現れたその子は、目に涙をためながら、 ギャラリーの中を何周も何周もグルグルまわって見ていました。
 そして次の日、今度は友だちを連れてやってきました。「いつか保健所の人 に聞い たら、安楽死って言ってたのに……」。2人でそんなことを話しながら、 長い間、一 生懸命に、いろんなことを考えているようでした。
 そして、一度帰ったと思ったら、今度はその子1人でサイフを握りしめてやってき て、
 「この写真集ちょうだい!」
 「大丈夫? 今月のお小遣い、なくなるんちゃうか?」と言うと、「大丈夫 ! これ見せて、みんなにも知ってほしいから!」
 そしてその次の日、今度はギャラリーに電話をくれて、
 「今日、あの本、友だちや先生にも見せたよ! そしたら、みんな、わかってくれ たよ。それで、先生が、『動物たちがこんなに苦しんでるのに、俺らがのほほんとし てたらアカンなぁ』って言ってくれて、今度の学級通信で、私らがこのことを紹介す ることになったんよ!」と嬉しそうに報告してくれました。
 その後、できあがった学級通信と一緒に送ってくれた手紙には、「今日の朝礼で、 みんなの前で、このことを発表しました。ちょっと恥ずかしかったけど、 みんなにも わかってもらえてたらいいなぁ」とありました。
 こんな頼もしい仲間が、どんどんどんどん増えて行っています。
 愛護団体の方、学校関係の方、主婦、大学生、動物病院の先生……様々 な方々の賛同とご協力のもとに、写真展は現在までに北は青森、南は鹿児島までの全 国70数カ 所で開かせていただくことができました。
 でも、実際、写真展に足を運んでいただけるのは、ほんの一部の人たちだけ。 もっ と多くの人たちに、動物たちの瞳の訴えを届けたい──そんな願いがカタ チになった のが、今回の写真集出版でした。
 その中では、写真に加えて、「避妊・去勢」のこと、「しつけ」のこと、 「法律」 のこと、「里親制度」のこと、「動物福祉先進国・イギリスの取り組みと日本 の現状」 など、どうぶつとともに生きるために知っておきたいこと、考えたいこともまとめま した。この本を通じて、「自分にどうぶつと暮らす資格があるのか」「彼らの命を守 るために自分にできることは何なのか」を問い直してもらえれば幸いです。
 現在、本を読んで下さった方からも、「地元でも写真展を──」との依頼が舞い込 んでいます。ますます多くの人たちに、やさしい“思い”の輪が広がりそうです。
 これまで闇に閉ざされていたどうぶつたちの声なき声に、わずかながらも光を当てることができれば……そんな思いで、これからも活動を続けていきたいと思 っていま す。そして、いつかきっと、暗く冷たいガス室の中で、その短い一生を終 える不幸な どうぶつたちが、この地球上からいなくなりますように──。
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