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ブルーミントン動物病院
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里親探しは「獣医師広報版」
獣医師広報版

財団法人日本動物愛護協会理事長・中川志郎さん <2000.7>
 1972年、中国からやって来た、「大熊猫(パンダ)」という不思議でかわいい動物に、私たちは夢中になりました。名前は「ランラン」と「カンカン」。上野動物園には長い長い列ができました。1984年、今度はオーストラリアから、かわいいかわいい「コアラ」がやって来ました。名前は「タムタム」と「トムトム」。多摩動物公園にも、長い長い列ができました。(実は、私も列んだですよ。)
 その2つの“日本初”の飼育に携わられた獣医師が中川志郎さんです。動物の生態、特に子育てについてのお話は、子育てに悩むお母さんや、これから子育てするであろう若い女性の方々には、ぜひ参考にしていただきたいお話です。動物保護についてのお話は、改めてその難しさを思い、う~むと考えさせられました。聞けば聞くほど、もっと聞きたくなるお話ばかりです。
『中川志郎さんプロフィール』
1930年、茨城県生まれ。1952年、上野動物園に獣医として勤務。1972年、中国との国交回復の記念に贈られた、パンダ飼育プロジェクトのチーフリーダーを務める。1980年、多摩動物公園に転勤。ここでも日本初のコアラ飼育を手がける。1984年、多摩動物公園園長に就任。1987年、上野動物園園長に就任、7代目園長となる。1990年、上野動物園退任。現在は茨城県自然博物館館長を務めると共に、各種審議会、動物関連団体理事等を務め、多方面にわたり活躍中。著書に、「動物たちの昭和史」「我が愛しき動物たち」「ニッポン動物風土記」「動物たちの最近事情」「地球はまあるい動物園」「ブタの鼻ぢから」「動物たちから教わったこと」「動物と私の交響曲」他、多数。
サーカスのライオンが赤ちゃんを産んだのをご覧になって、動物が好きになったと伺いましたが、動物園で働こうと思った一番の理由はなんですか?
 小学校の5年生の時、夏休みに動物の観察日記を書くという宿題があって、ボクはドジョウを選びました。見ていると、ドジョウが底に潜ったり水面に上がったりする時に、オナラをするんです。そこで「ドジョウのオナラ日記」というタイトルで、一日何回くらい潜るのか、泡が何個出るのか、泡の大きさはどのくらいかなどを調べて発表しました。ところが「オナラ」と聞いただけで、みんな笑って聞いてくれなかったんです。その時の担任の先生は“斉藤武左衛門”というお名前だったのですが、先生が「では、本当にドジョウがオナラをするのか、調べてみましょう。」とおっしゃって下さって、後日、それはドジョウの腸呼吸であると教えて下さいました。そんなことがあって、動物が好きになったんです。
 その頃は、「少年倶楽部」という雑誌の「見えない飛行機」とか「吠える密林」「海洋冒険物語」などの連載に夢中になりました。そこからいろいろな野生動物の存在を知ったんです。そして、小学6年生の時に上野動物園に初めて行って、雑誌で読んだ動物たちをそこで見ることができたんです。飼育係の人が、まるで魔法使いのように思えました。それからサーカスにも動物を見に行きました。そんなことがあって、動物園で働きたいと思ったんです。
動物園で働かれて、一番大変だったことは何ですか?
 大変だと思ったことは一度もありません。楽しかったです。ただ、始めの5年間はアルバイトとして雇われていたので、お給料がその当時一日230円だったんです。しかも、家にはちゃんと就職したことになっていたので、大変と言えばそれが大変でした(笑)。
今まで経験された動物の出産や子育てで、思い出に残っていることはありますか?
 昭和30年代のことですが、「リリー」というメスと「ナイロビ」というオスのライオンがいました。リリーは何度か子どもを産みましたが、まったく子育てをしないのです。その頃は、動物園ではライオンのオスとメスは別々に飼育していました。ライオンのオスは子育てに参加しないので、一緒にいる必要はないと考えられていました。しかし、何度目かのお産の後、リリーとナイロビを一緒にしてみました。そうしたら、驚いたことにリリーはすっかり良いお母さんに変身したのです。ライオンのオスは子 育てに直接参加はしませんが、“そこにいる”ということが大切なんですね。
 あと、パンダの「ホァンホァン」が赤ちゃんを産みましたが、ホァンホァンの体重は96キロ。でも、赤ちゃんは100グラムくらいしかないんですよ。パンダのお母さんはとにかく赤ちゃんをなめるんです。赤ちゃんが泣いていると、泣きやむまでずっとなめてやるんです。ボクも舌を出してなめる動作をまねしてみましたが、86回でリタイアしました。パンダのお母さんは、30分でもなめ続けます。すごいですよね。
今の人間と動物の親子関係の違いはどんなことですか?  動物の子育てから我々が学ぶべきことは何でしょう?
 人間は“頭”で、動物は“心”で子育てをするということです。動物は親から受け継いだ知識をそのまま代々引き継いでいきます。しかし、種としての「ヒト」は文明によって「人間」となり、親からではなく、「◯◯博士の育児書」みたいなものから子育てを学ぶようになり、いろいろな問題が出てきました。病院での出産ということも大きな原因でしょう。出産そのものが、病院の都合や病院の方針で決められていまうのです。新生児保育もそうです。自分の産んだ子どもに触ることもできず、ガラスの外から見ることしかできないなんて、少しおかしいですよね。それも少しづつ改善されてきてはいるようですが‥‥。
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最近の動物園で一番変わったことは何ですか?
 20世紀の後半から、“汽車窓式”の展示方法ではなく、野生の生態に準じた“生態展示”が考えられるようになってきました。また、岩や植物、水辺などを設置し、群で生きる動物は群で展示します。そのためには、一頭に対して広い敷地面積が必要になります。なので、ひとつの動物園で展示できる動物の種類は少なくなります。
 それと、野生から動物を連れて来るのではなく、動物園の動物は動物園で繁殖し、現在では約70%が動物園生まれになっています。
現在の動物園に何か問題点はありますか? また、これから取り組もうとしていることは?
 動物園で繁殖した動物の“野生復帰”ですね。これは大変難しいことなんです。動物園では、親から野生での社会生活を学ぶことができませんから、野生復帰のためのプロジェクトとトレーニングの場が必要なんです。しかし、まだうまくいった例がないのが現状です。
 動物園での繁殖だけでは血縁が濃くなりすぎる問題があります。なので、ある程度は野生から動物を連れてくる必要があるんです。繁殖した動物でそれを補っていけるようになるのが理想です。
開発と動物保護の将来はどうなるとお考えですか? 共存は可能でしょうか?
 持続的開発といって、自然を有効利用しながらの開発がうたわれていますが、現実的には不可能でしょう。地球の人口は、将来100億人になるそうです。現在、日本の食糧の7割は輸入に頼っています。日本やアメリカなどの先進国といわれている国のために、アフリカでは森を伐採し、牛を飼ってその肉を輸出しているのです。たとえ私たちの目の前の自然は大丈夫そうであっても、地球全体の自然環境は、どんどん疲弊していくのです。
 共存のためには、消費を抑えることと人口を増やさないことが必要です。我々人間の節度が必要なのですが、全世界の人たちにそれを理解してもらうのは、難しいでしょうね。
野生動物の密猟や密輸をなくすためにはどうしたらいいと思いますか?
 売れるから密猟するんです。ジャコウネコや、サイの角は薬として高い値段で売れます。それに効果があると思っている人たちが買うからです。しかも、アフリカではサイの角一本で、一家が2年間暮らせるそうですから、買ってくれる人がいる限り、ダメだとわかっていても密猟はなくならないでしょう。ですから、密猟をなくすには、市場をなくすことが必要なんです。
クローンによる希少動物や絶滅種の復活について、どうお考えですか?
 あまり意味は無いと思います。というのは、動物の命は生態系の中で“種”としての役割を果たしていることに意味があるからです。
ペットを飼っていますか?
 犬を一頭飼っています。ダックスフントのオスで、もう14歳になります。名前は「ユーリ」といいます。
今度生まれ変わった時、もし動物になるとしたら、何がいいですか?
 やっぱり人間がいいですね。
生まれ変わっても、また動物園の仕事につきたいですか?
 動物園というより、とにかく、また動物に関係する仕事に就きたいです。
動物園で働きたいという人に伝えたいことはありますか?
 「動物が好き」というだけではダメです。仕事ですからね。感情移入しすぎるのはダメなんです。ルールをちゃんと教えられないとね。かわいいだけでは済まないですから。
動物園へ来る人に伝えたいことはありますか?
 動物園で動物をただ“見る”のではなく、“観る”ということをしていただきたいんです。動物とは「動く物」です。たとえば、カバが寝ているのを見て、「あぁ、カバが寝てる」で終わり‥‥ではなく、寝ているカバも2分に1回は呼吸しています。その時に鼻の穴がプクッと開きます。それをちゃんと観て欲しいんです。たった2分間で、1回は観ることができるんですから。
お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 「ルールをちゃんと教えられないとね。かわいいだけでは済まないですから。」というお話は、私たちのペットのしつけにも、子育ての仕方にも言えることですよね。「人間は“頭”で、動物は“心”で子育てをする」というのも、大切なことだと思います。私も、うちの「ミケちゃん」の子育てを見ていて、「子育てっていうのは、こうしてするもんなんだなぁ。」と感心させられたものです。ちょっと昔までは、人間にも“ヒト”の部分が残っていたような気もしますが‥‥。
 中川さんは、PetComNetのインタビューでは初の男性ということもあって、お会いできるのを、とっても楽しみにしていました。そして、期待どおりのジェントルマンでした。もっともっとお伺いしたいお話もあったのですが、またの機会の楽しみにとっておきましょう。
 また、このインタビューのために突然訪れた私たちを、暖かく迎えて下さった「日本動物愛護協会」のみなさんに、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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