アタシはタマちゃん。3歳の日本猫。今日はタマちゃんの秘密をちょっとだけ教えてあげるにゃ。 |
あ〜〜〜〜、よく寝たにゃ〜。ヨイショ、ウンショ、ノ〜ビ、ノ〜ビっと。タマちゃんたち猫は熟睡から覚めると、こうやってあくびとストレッチをして、脳と筋肉に酸素を送るにゃ。このポーズって、ヨガにも取り入れられてるにゃんよ。さぁ、もうこれでスタンバイOK。寝起きにいつまでもボ〜っとしているなんて、人間は動物としてすっかり堕落しちゃってる証拠だにゃん。
タマちゃんたちは1日15時間以上は寝てるにゃんよ。猫は肉食動物だから、カロリーの高い食事を摂って必要なエネルギーさえ得られれば、後は無駄に消費しないように寝てるにゃ。合理的でしょ? |
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タマちゃんは寝る場所にはけっこううるさいんにゃよ。まず、快適な温度。タマちゃんたちが快適と感じる温度はだいたい22度くらい。冬は暖かく、夏は涼しい場所にゃ。そして、安全であること。まぁ、家の中ならだいたい安全にゃんだけど、ときどきお外でお昼寝する時は大変にゃんよ。その時の気分で「見晴らしのいい場所」にするか、「見つかりにくい場所」にするか決めるにゃ。それと、飼い主さんのいる場所にゃ。用ができたらすぐに飼い主さんを呼ぶことができるんにゃ。特に寒い時は、膝の上は暖かいしにゃ。あと、段ボールの箱。箱はタマちゃん、大好きにゃん。どうしても箱を見ると入りたくなるにゃん。
タマちゃんは、暑い時は熱を発散させるように長く伸びて寝るし、寒い時は体温を守るために丸くなって寝るにゃ。お外でお昼寝の時は丸くなって寝るけど、お家で爆睡しちゃうと大の字で仰向けになっちゃうことも。家の中は安全だからにゃ。
さて、飼い主さんは‥‥あぁ、やっぱり、まだ寝てるにゃ。ホントにねぼすけなやっちゃにゃ〜! |
飼い主:うぅ〜ん。タマちゃんはいいわよね。1日15時間以上も寝てて‥‥。でも、完全に熟睡してるのは4時間くらいなんですって。猫が寝てる時に無理矢理起こしたりする人は、猫に嫌われますよ。適当にほっといてあげるのが、猫にとってはいい飼い主なんです。タマちゃんが大の字になって寝るのは、安心しきっている証拠。よかったわ。うぅ〜ん‥‥もうちょっと寝かせて‥‥。 |
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ペロペロペロペロ‥‥。タマちゃんはきれい好きだから、いつもこうやって舐めて、体をきれいにしてるんにゃ。ひなたぼっこしながらやると、これがまたいいんにゃ。きれいにするだけじゃないんにゃよ。こうして毛並みを整えたほうが、夏は涼しく、冬はあったかいんにゃ。それににゃ〜、なんか落ち着くにゃ。だからタマちゃんは、叱られた時も、犬に吠えられた時も、知らない猫に合った時も、遊んでて気分がハイになった時も、ネズミに逃げられた時も、何かっていうとペロペロ毛繕いするんにゃ。
口に入っちゃった毛はどうなるかって? 口から入ったものはお尻から出るに決まってるにゃん。でも、ときどき草を食べて吐いちゃうけどにゃ。ちゃんと吐き出さないと、お腹でヘアボール(毛球)が大きくなって、大変にゃ。
うちの飼い主さんは、ちゃんとブラッシングもしてくれるにゃん。これが気持ちいいにゃん。タマちゃんブラッシングは大好き! でもにゃ〜、シャンプーは苦手だにゃ。タマちゃん、一度だけシャンプーされたにゃん、ノミがいるって‥‥。もう二度と嫌にゃん。あのドライヤーの音がたまんないしにゃ。
タマちゃんたち猫のご先祖は、エジプトの砂漠に住んでいたにゃんよ。砂漠で水に濡れるってことは、大変なことにゃんよ。なにせ夜は極端に寒くなるんにゃ。濡れたりすると、死んじゃうにゃ。だから、今でも猫は水に濡れたくないにゃ。濡れた雑巾だって踏みたくにゃい! |
飼い主:こっちだって、できればもう二度とシャンプーなんかしたくないわ。ひっかかれて傷だらけだもの。タマちゃんは日本猫だからそんなにシャンプーの必要はないけど、毛の長い猫さんは、1ヶ月に一度くらいのシャンプーが必要なんですって。大変ね。ブラッシングはしたほうがいいですね。猫も喜んでくれるし、お部屋が毛だらけになるのを防げますからね。それと、猫のお腹にヘアボールが溜まるのも防げます。室内飼いの猫さんには、猫用の草を用意してあげて。ヘアボールが心配なら、ヘアボールコントロールのペーストがありますから、獣医さんにご相談を。お掃除もまめにやりましょう。 |
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さて、そろそろお腹がすいてきたにゃん。ねぼすけを起こしてやらなくっちゃ。ニャ〜ニャ〜。ニャ〜ニャ〜。腹減ったにゃん。ちょっと! もう起きにゃん。もう起きにゃん。あ、起きた起きた。よかったにゃん。
この前なんか、いくら起こしても起きにゃいから、お気に入りのクッションで爪とぎしてやったにゃん。慌てて飛び起きて「ギャーッ!」なんて言ってたけど。タマちゃんが悪いんじゃないにゃん。起きないのが悪いんにゃ。
タマちゃんの友だちなんか、飼い主さんが起きないと、お布団にオシッコしちゃうらしいにゃ。タマちゃんはそこまではしないけど、猫は飼い主を起こすために、いろいろ考えるにゃ。猫はごはんのためならなんだってするにゃん。 |
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飼い主:まったくねぇ〜、ひどいわよ。猫には平日も土日もないし、お正月だってないんですもの。毎日ちゃんと決まった時間に起こしてくれるんですから、感謝しなくっちゃなんですけどね。でも、この「起こし方」が猫ってずる賢いなぁ〜と思わせますね。一度「効果的な起こし方」を覚えたら、絶対に忘れないんです。だから、ニャ〜ニャ〜騒ぐとか、ほっぺたをチャイチャイと触るくらいの平和的な方法で起こしてくれているうちに起きてあげないと、大変なことになってしまうこともありますよ。 |
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さぁ、ごはんだ。今日は何かにゃん。あ、今日は「まぐろとしらす」にゃん。いい匂い。これ、けっこういけるんにゃ。タマちゃんたちにとって、ごはんは味より匂いにゃん。今、自分が必要としている栄養素が何かも、自分でちゃんとわかるにゃんよ。昨日食べたごはんを今日食べないのには、ちゃんと理由があるにゃん。
タマちゃんたち猫は肉食動物。雑食の人間とはぜんぜん必要な栄養素がちがうにゃ。犬も雑食だから、ドッグフードは猫のごはんにはならないにゃ。じゃぁ、今日は猫に必要な栄養素を教えてあげるにゃ。 |
「タンパク質」
タンパク質は筋肉を形成し、ホルモンや酵素の働きもします。動物性タンパク質と植物性タンパク質ではタンパク質を構成しているアミノ酸の種類が違い、猫には動物性のアミノ酸が必要です。特に「タウリン」は動物性タンパク質にしか含まれず、タウリンが欠乏すると、猫は夜目が利かなくなったり失明したりします。
「脂肪」
猫の必須脂肪酸のほとんどは動物脂肪に含まれています。高カロリーのエネルギー源としてだけでなく、補酵素や生体の微量成分の材料として重要。猫は犬よりも多量の脂肪を必要とします。
「リン」
リンを摂りすぎてカルシウムとリンのバランスが崩れると、余ったリンを体外へ排出する時に、カルシウムも失われてしまいます。カルシウムとリンの比率は1:0.8くらい。
「炭水化物」
猫は脂肪やタンパク質をエネルギーに変えることができるので、特に炭水化物は必要としません。米や麦を熱処理したものは消化可能で、炭水化物はエネルギーとして使用されます。
「カルシウム」
骨格を作るために重要な栄養素です。特に子猫や妊娠した母猫には重要。煮干しやチーズなどに含まれています。 「鉄分」 赤血球を作るのに必要です。生肉やレバーに多く含まれています。
「ビタミンA」
目を保護します。しかし、摂りすぎると筋萎縮や体の痛みの原因に。
「ビタミンB1」
体調維持に必要。ビタミンB1は体に蓄積されないので、毎日摂る必要があります。豚肉に多く含まれています。アジにはビタミンB1を破壊する成分が含まれているので、注意が必要です。
「ビタミンC」
皮膚、毛、歯茎の健康に欠かせません。しかし、猫は体内でビタミンCを合成することができるので、特に与える必要はありません。
「ビタミンE」
骨格と筋肉の成長を助け、血行をよくします。 |
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タマちゃんたちの食事もバランスが大事。タマちゃんもマグロは大好きだけど、マグロしか食べにゃいとか、偏食はダメにゃ。タマちゃんのごはんの中身を教えてあげるにゃ。
「牛肉」
動物性タンパク質が豊富。動物性脂肪は猫にとって大切な必須脂肪酸の供給源です。
「豚肉」
動物性タンパク質が豊富。少量ならレバーもOK。ただし、摂りすぎはビタミンA過剰症に。寄生虫に感染しないよう、よく加熱して下さい。
「鶏肉」
消化がよく、猫も大好きです。ささみには脂肪が含まれていないので、胸肉をあげましょう。 |
「馬肉」
タンパク質は豊富ですが、脂肪分は少なめ。
「羊肉」
栄養豊富。アレルギーも起こしません。
「魚肉」
赤身の魚はビタミンEが豊富ですが、それ以上にその脂肪酸でビタミンEを消費しますので、毎日与え続けないようにしましょう。小魚や煮干しはカルシウムやビタミン類の補給に最適。
「牛乳」
カルシウムの補給になります。ただし、猫によっては下痢をすることも。
「チーズ」
タンパク質、脂肪、カルシウムが豊富。
「卵」
卵黄は栄養価が高く、吸収率100%。卵白は必ず加熱して下さい。与えすぎはカロリー過多に。 |
タマちゃんはカロリーの高いものは少なめに、カロリーの低いものは多めに食べるにゃ。タマちゃんは普通のオトナの猫だから、一日に必要なエネルギーは、体重1キロあたりだいたい80キロカロリー。10週めくらいの子猫なら250キロカロリー必要だし、室内飼いであんまり運動しないなら、70キロカロリーくらいで十分。妊娠中や授乳中のお母さん猫は100キロカロリーくらい必要だにゃ。
タマちゃんたち猫は、気まぐれなようだけど、けっこう習慣は大事にするにゃ。だから、食事の時間は守って欲しいにゃん。でも、朝ごはんで必要なエネルギーが満たされてしまうと、夜にはあまり食べないこともあるにゃんよ。そんな時は、無理にごはんを勧めないで欲しいにゃん。タマちゃん、肥満は嫌にゃん。ナイスバディーでいたいにゃん。
それからにゃ〜、冷蔵庫から出したばっかりの冷たいごはんはキライ。少し暖めて欲しいにゃ。人間のごはんはおいしそうな匂いがして、タマちゃんもついつい欲しくなったりするんだけど、ダメにゃんよ。猫には塩分や糖分が多すぎるにゃん。他にも猫が食べちゃいけないものがあるにゃんよ。 |
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「イカ・タコ・貝類」
加熱して少量なら大丈夫。食べ過ぎは胃腸障害を起こします。
「ネギ類」
赤血球が破壊されます。
「アワビ」
日光に当たると毒に。耳が腫れたり皮膚炎になります。
「観葉植物」
観葉植物には、猫に対しては害になるものが多く、中毒を起こす場合も多いですから、要注意です。
「鶏の骨・大きな魚の骨」
鶏の骨は鋭く裂けて喉や胃に刺さります。大きな魚の骨もダメです。 |
タマちゃんはいつもキャットフードにゃ。キャットフードには猫缶とカリカリ(ドライタイプ)があるにゃ。フードには「総合栄養食」や「一般食」や「間食用」などいろいろあるんにゃよ。ちゃんと選んで食べないと、栄養が偏ったり、添加物も心配にゃんよ。
それと、水! 飲み水をあっちこっちに用意しておいて欲しいにゃ。カルキ臭い水道の水はキライ! タマちゃんは湯冷ましかミネラルウォーターにゃ。 |
飼い主:猫は一回でお腹いっぱい食べるコもいますが、何度も小分けして食べるコもいます。そのコの性格もあるので、一日何回あげるのが正しいとは言いにくいですね。食べたいだけ食べさせておいても、普通は猫自身が食べる量をセーブするものなのですが、中には肥満になってしまうコもいます。だからといって量を減らすと拾い食いのもとに。そういコには脂肪の少ないフードがお勧めです。また、食事の場所も決めておきましょう。 |
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ちょっと、見ないでよ! あっち行ってて! いくらかわいいタマちゃんだって、食べれば出るものは出るわにゃん。猫のは特に臭いって。これがお隣さんとのトラブルのもとにゃん。だから、トイレの場所とお掃除は大事だにゃん。タマちゃんだって汚いトイレはいやにゃん。
動物にとって排泄行為の最中はとっても無防備な体勢なのにゃ。だから、あんまり人が見ていたり明るすぎる所は落ち着かないの。静かで匂いのこもらない場所がいいにゃん。
トイレの砂にもいろいろあるにゃんよ。鉱物性のゼオライトやベントナイト。ベントナイトは固まる砂にゃん。紙製のや木製のもあるにゃん。最近はリサイクル製品としてコーヒー豆やおからを使った砂もあるんだって。 |
猫のトイレの容器にもいろんなのがあるにゃん。固まる砂用のと普通の砂用のがあるから、どの砂を使うか考えてから用意してにゃん。2つ用意して、1つを洗ってお日様に干したりして、ローテーションで使うといいにゃん。ボックスタイプのや防臭フィルターが付いたのもあるんにゃよ。
消臭剤にもいろいろあるにゃん。トイレの砂に混ぜるタイプや、ごはんに混ぜて食べるとウンチやオシッコの匂いが少なくなるっていうのも。消臭剤で気を付けて欲しいのは、タマちゃんたちが薬物中毒にならないような、安全なものを選んで欲しいにゃ。タマちゃんは芳香剤はキライ。根本的な解決になってないし、あの匂いがたまらんにゃ〜。
ヨイショヨイショ。かくしてかくして。これでよしっと。飼い主さ〜ん、トイレのお掃除お願いしま〜す! |
飼い主:あ、ハイハイ。トイレに関しては、タマちゃんはすぐに覚えてくれました。でも、トイレが汚れているのは気に入らないみたい。うっかり汚れたままにしておくと、他の場所ですることも。そんな時は叱れませんね。飼い主として反省しつつ、きれいにお掃除するのみです。今日も健康ウンチでよかったわ。 |
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あら、飼い主さん、お出かけ? 行ってらしゃ〜い。飼い主さんがいない間、寂しくないかって? う〜ん、そうにゃ〜。こんなこと言ったら飼い主さんはがっかりするかもしれないけど、ちょっとぐらいのお出かけなら、そんなに寂しくはないにゃ。タマちゃんはごはんをくれる人がいない間は、無駄なエネルギーを使わないように、ほとんど寝てるにゃ。
夜になっても帰って来ないと、ちょっと心配になるにゃ。でも、ごはんと水があれば大丈夫だにゃ。ごはんは腐りにくいドライフードがいいにゃ。予備のトイレも用意してね。3日いないとかなり心配になるにゃ。タマちゃん、1週間ペットホテルにお泊まりしたことあるにゃん。でも、やっぱり知らない場所は好きになれないにゃ。飼い主さんのいる家が一番にゃん。
というわけで、タマちゃん寝るにゃん。 |
飼い主:あ〜、ちょっとがっかり! もうちょっと寂しがってくれてるかと思ったのに。私はタマちゃんのことが心配で、旅行に出かけても、結局、あわてて帰って来ちゃうんです。あまり出かけないのが一番ですね。でも、3日以上留守にしてしまう時は、信頼できるペットシッターさんか、ペットホテルにお願いするほうが安心です。夏のお出かけは、室温に注意が必要ですね。40度以上になると、熱射病になり、命にかかわります。 |
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さぁ、今日もちゃんとお留守番してたし、ご褒美に遊んでもらうにゃん。タマちゃんは明け方と夕方になると遊びたくなるんにゃよ。ニャオニャオゴロン、スリスリ‥‥。タマちゃんたち猫の遊びは“狩り”のシュミレーション。「ネコじゃらし」を使っても、単純な動きだけじゃ、すぐに飽きちゃうにゃん。動いては止まり、物陰に隠れたり、ダッシュしたり、ジャンプしたり、猫が喜んで遊べるように、よく研究してにゃ。こうしてタマちゃんは飼い主さんの肥満防止にも一役かってるにゃん。 |
このお部屋もタマちゃん好みにレイアウトしてあるんにゃよ。クローゼットや本棚を、タマちゃんが上手に飛び乗れるように配置してあるにゃん。床もフローリングじゃなくって、タマちゃんが思いきりダッシュできるよう、カーペットを敷いてあるしにゃ。ホントは感謝してるにゃんよ、飼い主さん。 |
飼い主:あら、ホント? うれしいわ。タマちゃんは遊ぶの大好きね。まぁ、猫が一日やることといったら、「寝る」「遊ぶ」「ごはん」の3つだけですからね。遊んであげることは、運動不足とストレスの解消はもちろん、スキンシップにもなり、猫との生活には欠かせません。遊び方を工夫して、満足してくれるまで遊んであげましょう。 |
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タマちゃん、もう疲れたから寝るにゃん。おやすみ〜。 |
イラスト:山本久美子 いなだゆかり
『タマちゃんのお部屋』は、ブルーミントン動物病院と、動物関連情報サイトPetComNetが共同で制作しています。
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